「子どもの自立を促す子育てと新聞の生かし方」日本メディアリテラシー協会 寺島絵里花さん【中編】

SNS等でデマやフェイクニュース(偽情報)が出回る中、情報を読み解き正しく活用する「メディアリテラシー」を子どもに身につけさせることが大切になっています。一般社団法人日本メディアリテラシー協会・代表理事の寺島絵里花さんに、子どもの自立を促す子育ての秘訣や、現在の仕事に就いたきっかけ、ご家庭での新聞の生かし方についてインタビューしました。


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1面見出しの子どもの反応をきっかけにコミュニケーション

―家族の会話の中で、新聞のどのような記事をピックアップしていますか?


寺島さん:まずは「1面の見出し」ですね。子どもが「これどういうことだろう?」と1面の見出しに反応するので、「これってこういうことなのかな?」と投げかけてコミュニケーションを取っています。

うちは結構早めで、年長さんか年中さんから小学生新聞を購読して、新聞の読み聞かせをしていました。

新聞以外にも自然と目がいくのも良いところ

―どんなニュースを読み聞かせていたのですか?


寺島さん:かわいいニュースがいっぱいあるんですよ。動物園にこんな動物が生まれたとか(笑)

その時は0歳、2歳、4歳の子どもを育てていたので、買い物に行くのも一苦労で、なかなか外に行けませんでした。寝ながら授乳したりするときに一緒に読んでいました。

毎日違うものが届くのも子どもにとって魅力みたいですね。

ポストに行くのが楽しみらしく「今日は何が書いてあるんだろう?一緒に行こう」と一緒に取りに行っていました。


私が読み聞かせをしてあげられないとき、だんだんと子どもが自分で見るようになりました。

言葉のないイラストだけの漫画もあったり、工作の仕方が載ったりしていたからだと思います。工作の特集の中で、私たちの体の10倍ぐらい大きい恐竜の新聞アートを作る有名な方が取り上げられていました。特集を子どもたちが見ると「これを作ってみたい!」って言ってくれます。新聞は読むだけで終わらない点がとても良いです。


―新聞記事を活用するワークショップを開催されているそうですね。


寺島さん:記事のスクラップの仕方をブログで書いているのですが、新聞をどう活用したらよいのか、どうやったら継続して取り組めるのかを疑問に思っている親御さんが多いので、実際にワークショップで説明しています。


新聞は「親が子どもを大切に思っている」ことを伝えるツールになる

寺島さん:うちの娘たちは新聞を親子の交換日記のようにしていて、主人か私のどちらかが必ずコメントを入れています。

情報を読み取るときに大事なのは、事実と感情を分けることだと思っています。

同じニュースを見ても、私が感じることと子どもたちが感じることは意外と違います。子どもが何かを言う前に、私が「これってよくないよね」と先に判断しないようにしています。


娘たちが記事のスクラップに要点をまとめて感想を書くときもありますが、それを見て「あ、意外とこういうことも知っているんだな」と発見があります。

そこに対して私か主人どちらかがコメントを書いています。


子どもが3人いると1人1人にあてられる時間も少なくなります。子どももコメントがあるとやっぱりうれしいみたいです。

「親が子どもたち1人1人をとても大切に思っているんだよ」ということを伝えるツールとして新聞を活用しています。



娘が「分からないなら、今日の記事スクラップしとくよ」って(笑)

―素晴らしい取り組みですね。


寺島さん:子ども新聞でSDGs(持続可能な開発目標)の記事がよく載っていたときがありました。

娘とファーストフード店に行くと「あ、これはFSCだね」と言ったのです。私がFSCの意味(森林保全を間接的に応援できる仕組み)を知らなかったので、「え、何それ?」と言うと、娘が「分からないなら、今日の記事をスクラップしとくよ。読んで勉強しといて」みたいな感じでした(笑)


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「子どもの自立を促す子育てと新聞の生かし方」日本メディアリテラシー協会 寺島絵里花さん【後編】