13紙読み比べ“時事芸人”プチ鹿島さんに聞く「新聞の楽しみ方」【後編】

時事ネタを得意とする芸風で、テレビや新聞、雑誌等でレギュラー多数を持つ時事芸人のプチ鹿島さんに新聞13紙の読み比べで得た新聞の楽しみ方、魅力などについてインタビューしました。


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家庭欄、文化欄、人生相談から読む

―普段、新聞を読み慣れていない人が楽しむコツはありますか?


プチ鹿島さん:見落としがちなのは「家庭欄」「文化欄」。そこから読み始めてもいいと思いますね。

叔母はよく「私がこの新聞を選んだ理由は文化欄とか家庭欄が面白いから」と言ってます。例えば、お料理の知恵とか、お母さんの悩みとか、そういうのが載ってます。

以前、対談した新聞記者の方が言っていたことがあります。新聞は社会で起きている出来事を毎日報じているので、各紙の1面や社会面で切り口が違えど同じニュースを扱うことはよくあります。しかし、家庭欄とか文化欄は新聞によって如実に違いが出るんですよね。

今だったら、家庭でできる料理や運動がよく載ってます。そういうところから読んでみるのもいいんじゃないかなと思います。


あと、面白いのが「人生相談」ですね。

菅官房長官は、ある新聞の人生相談の欄を毎朝読んで、世の中の人はこんなこと考えてるんだと知って、相談に対して自分ならどう答えるかを考えるらしいんですよ。


新聞にはいろんなものが載っています。四コマ漫画だけ読むのもいいですし、慣れてきたら、同じトピックでA新聞とB新聞はなんでこんなに意見が違うんだろうとか、読み比べてみたり。

社説などはネットで公開していますので、購読している新聞とは違う新聞の社説を見比べてみるのも面白いです。


電子版でも「紙面」ならニュース価値の大小が一目で分かる

―紙の新聞の魅力とはどんなところだと思いますか?


プチ鹿島さん:僕は13紙のうち半分以上、3分の2は電子版を購読しています。紙はかさ張りますし、溜まると大変なことになる。

ただ電子版で読むときに気をつけているのは、紙面をそのままPDF等で表示する「紙面ビューアー」で読むようにしています。


なぜそれが大事だと思っているのかと言うと、新聞社の各ニュースの価値判断がパッと見て分かるからです。各紙の1面で同じニュースを扱っていれば、このニュースは大きなニュースなんだと分かります。

扱いの大きさに違いがでない、いわゆるデジタル版だと自分の好きなニュースしかクリックしないので、自分が好むニュースだけ読みがちになって偏ってしまいます。


ニュースを見慣れてる人はそういう見方でもいいと思うのですが、デジタルでも紙の紙面をビューアーで見た方が良いですね。

ネットではすごく騒がれていたニュースでも紙だと全然扱いが小さかったりして、「そうか新聞というフィルターを通すとまだこういう扱いなのか」と思うし、そういう価値観の見比べができるんですよね。

「そのニュースはこの新聞ではまだこれくらいの扱いなんだな」と各紙の報じ方を見ることができる。


僕らの代わりに取材してくれる新聞記者に任せる

プチ鹿島さん:今、多くの方がSNSをやっていて、SNSで受けそうなニュースとかを結構配信していたりもします。

SNSで速報として流れてきたニュースを、僕は翌日の朝刊で確認するようにしてます。情報をいかに早く取るかよりも、自分の中でニュースをどう咀嚼してるかの方が大事だと思っています。

僕は情報を得るサイクルを朝刊をベースにしています。


―ネットだとその都度流れてくる情報に振り回される人が多いと思うので、そういった時間を持つことはすごく大事ですね。


プチ鹿島さん:今コロナ関連の情報がネットでも溢れていますが、全部いち早く知る必要はないと思うんですよね。

これって本当なんだろうか、どういう意味なんだろうか、どれくらい大きいニュースなんだろうかっていうのを調べるのは、とても時間がかかりますよね。そこを僕は新聞記者の人に任せているという感覚です。


僕は、ネットに出ているものは全て「仮説」だと思っています。こないだもアベノマスクのことで、どこそこの業者怪しいぞとか、どんな人だとかといった情報が流れていましたけど、記者やジャーナリストはそれらの情報を調べて、その社長さんにも取材する。

僕らの代わりなっているわけですよね。そうして書かれた記事を僕たちは朝刊とかで味わえる。不審や疑問な点があれば、取材は続くわけです。

国会議員もそうですよね。国会議員は僕らの代わりに議論してくれるから、代議士っていうわけじゃないですか。自分の代わりに議論してくれる人を選挙で投票してるわけじゃないですか。新聞も同じです。


「新聞を信じろ」ではなく「新聞を利用すればいい」

情報が溢れている時代だからこそ、全部の情報を自分で追っていったらキリがないですよね。自分のフィルターを一つ見つければいいんです。

僕はよく「新聞を信じろ」ではなく「新聞を利用すればいい」と言ってます。


世の中で起きている事実を僕らの代わりに取材してくれて発表してくれるのが新聞です。

ネットニュースだって同じで、これ本当かな、どうかなって自分で迷ったら、自分で調べていくしかないじゃないですか。その時間を僕はもう新聞に託している。

そもそも自分の親とか、お爺さんお婆さんの世代は、それぞれ仕事があって忙しい中で、世の中で何が起きてるのかの情報を取るために新聞を読んでいたと思うんですよね。

今ネットが出てきて、「いやこっちの方に真実がある」とかいろいろ言い出す人もいますけど、そういう人たちが当事者に裏付けをとって、しかも編集デスクの目を通ってその情報を出しているかと言ったら違いますよね。


一番訓練されてるのはやっぱり新聞だと思っているので、そこを利用すればいいと思います。そして、その意見の違いを楽しめばいい。「僕はこの新聞のこの意見は正しいと思うけど、こっちの新聞の意見には賛同できない」そういう使い方をすればいいと思うんですよね。


記事は全部読まなくていい。「見出し」を読んでいくだけでも有効

―小学生くらいの子どもはどのように新聞に触れていったらいいでしょうか?


プチ鹿島さん:僕が10代の頃を考えると、やっぱりテレビ欄とか四コマ漫画、社会面くらいしか読んでいなかったです。偉そうなことは言えないのですが、ただ情報を受け取るんじゃなくて、社説なら社説を擬人化してネタにしていくとか。

1面のコラムもおすすめです。コラムは読ませ方を工夫しています。

社説が難しそうなら、1面コラムから見てみるのもいいと思います。

あと、記事は全部読まなくてもいいです。新聞をめくって「見出し」だけを読んでいくだけでも有効だと思っています。

朝忙しい人は見出しだけを見ていって、自分が気になった記事のリード文を読む。本文は、例えば会社で話題になったとき、そういえばそんな記事があったなって思ったら、後からじっくり読む、そういう読み方でもいいと思うんですよね。


前編の記事はこちら↓

13紙読み比べ“時事芸人”プチ鹿島さんに聞く「新聞の楽しみ方」【前編】
https://www.shinbun.me/posts/8268101


【動画】時事芸人プチ鹿島さんに学ぶ 「なるほど!新聞活用のコツ」
https://www.shinbun.me/posts/8523570