教育YouTuber葉一さんに聞く「子どもの自主性を伸ばす自宅学習と新聞活用法」【後編】

新型コロナウイルスの影響で学校が休校になり、子どもは自宅学習を余儀なくされています。元塾講師の教育YouTuber 葉一さんに、子どもの自宅学習に親はどう関わるべきなのか、新聞の活用法などについて聞きました。


前編の記事はこちら


自分の意見を持てるようになることが必要

ー教育改革で教育現場も変わっていっていると思うのですが、子どもにどんな教育が必要ですか?


葉一さん:例えば動画教材の活用や、ICT教育などが謳われていますが、もっと浸透してほしいと思っています。

語弊があるかもしれませんが教科書に載っていることは、自分で教科書を読んでも理解できる可能性もあります。

去年いろんな学校の授業を見させてもらったんですけど、教科書に載っている内容は映像授業などで担保して、じゃあ授業で何をやるかと言うと、ディベートなんですよ。

「A、B、C班に分かれてこの公式を導くアプローチをそれぞれ発表しよう」みたいな。今進めているような新しい学びがもっと重要になってくると感じています。


紙の新聞は自分の意見を育みやすい

ー教育が変わってくる中で、新聞が果たせる役割はあるでしょうか?


葉一さん:新聞は一覧性があることもあって、テレビ報道よりフラットに情報が入って来やすい媒体だと思っています。

いかにICTやロボットやAIなどが発展した世の中になったとしても、人の読解力は絶対に必要です。

新聞は映像ではなく文字で情報を得られて、かつ客観的な情報を提供しているので、きっと子どもたちは同じ記事を読んでも、違った意見が出てきやすいんじゃないかと思うんですよ。


「このニュースどう思う?」と多様な意見を集めようとした時には映像のニュースよりも新聞記事の方がいいんですよ。

子どもたちに、一つの事柄に対して、さまざまな意見や捉え方があるということを教えるには「新聞」が最適な教材です。もっと学校で扱ってほしいものだなと思っています。

ー「新聞に載っているこの出来事をどう思う?」って聞いてもお子さんはなかなか答えられないんじゃないかという印象もありますが。


葉一さん:子どもって我々が思っている以上に大人の顔色を伺ってしまうんですよね。

それに人と違う意見を持つことを恐れる傾向があるので、教科書的な模範解答を言おうとするんです。本当はそこに正解は無いんですけどね。

そこを変えていくためにも、まず「自分の意見を持っていいんだよ」っていう土壌を作らないと始まらないと思っています。

Aの意見、Bの意見、Cの意見が出てきたとしても全然構わないという土壌ができたら、新聞ってとてもいい教材になると思うんですよね。


どっちかっていうと、新聞の問題というよりも今の子どもたちを取り巻く環境が問題です。

例えば学校で、子どもが突飛なことを言った時にあからさまに嫌な顔をする先生がいたりします。一度そうした体験をしてしまうと「あ、変なこと言っちゃダメなんだ」となっちゃうので、そういったところが変わっていったらいいのかなと思います。


親として子どもの意見を尊重するのが大切

―家庭でできそうな新聞の使い方ってありますか?


葉一さん:ニュースでもアニメでもいいんですが、見ている時に「どう思う?」って子どもによく聞くようにしているんですよ。

難しい返答は求めてなくて、それが悲しい場面で「悲しかった」っていう意見を求めてはいるんですけど、そうした意見じゃなくてもいいと思って聞いてます。

自分の意見を持つことが大事。そして、それを尊重するのが親としてすごく大切だと思っています。

トレーニングしようと思って子どもに質問しているわけではないですけど、家でできることだよなと思ってそうした問いかけを大事にしています。

―自分の意見を他者に伝えて、肯定されるという経験って大切ですね。


葉一さん:そうですね。自分の意見が肯定されるという経験と、逆に相手と意見が違った時に何かを感じるという経験を少しずつさせたいと思っています。


学校は成功体験を積むのに一番カジュアルな場所

―動画配信されている授業は、学校のカリキュラムに沿ったものが多いですけど、こだわっている部分などありますか?


葉一さん:学校の授業や教科書に載っていることって、社会に出てから使うかと言ったら使わないことの方が圧倒的に多いわけですよ。別に因数分解できなくても実生活で困りませんし。

学校教育は小さな成功体験を積むのに一番カジュアルな場所だと思っています。

スポーツももちろん努力した分成果が出るんでしょうけど、運動神経や体格など生まれ持ったものの影響も大きいです。


でも、学校の定期テストぐらいだったら、努力した分だけ明らかに結果に出やすいですね。

塾講師をしていた時は勉強の苦手な子たちが多く、そういう子どもはそもそも勉強なんて必要ないと思っています。だからこそ、学校のテストは、努力したら結果が出るっていう体験をさせるのに一番いいな、と。

そのサポートがしたいので、まずは学校の教科書に沿った授業を動画に撮ろうと決めました。


YouTubeと勉強を混ぜ合わせた時に「それもありかもね」という風潮ができ始めたのは一つの手応えを感じてます。

―2012年からスタートして8年間YouTubeを続けてきた中で手応えを感じていることはありますか?


葉一さん:YouTubeに対する世の中の見方が変わってきたなっていうのは感じます。つい最近、去年あたりからですけど。

2012年から1年半ぐらいまでは、よく批判されていたんです。

YouTubeで勉強することが「それもありかもね」という風向きに変わってきたことに一つの手応えを感じています。


あとは、8年経っているので、当時私の動画を見てくれていた15歳がもう23歳なわけですよ。

5年ぶりに連絡が来て「〇〇会社に入りました」という連絡をもらえるのは、今まで続けてきたからこそですね。

始めた当初の子どもたちはもう20歳過ぎていますけど、子どもたちの成長に力添えできたのかなっていうのは感じるところですね。


【葉一さんのYouTubeチャンネル】チャンネル登録者数 91.4万人(5月11日時点)