新聞と『時事問題に強くなる本』を活用した子どもの学力の磨き方【前編】

『2020年入試用重大ニュース 時事問題に強くなる本』学研プラス)の編集担当者である、小中学生事業部 教科教育編集室の統括編集長 中山敏治(なかやま としはる)さんに、本の内容や子どもの学力向上のポイントや新聞の活用法についてインタビューしました。

後編の記事はこちら

<本書の紹介>

中学入試・高校入試用で出題が予想される時事問題の対策本。
入試に出る可能性が高い19のニュースを厳選し、カラーでわかりやすく解説してあります。

○「入試に出るニュース講座」…ニュースを政治、経済、国際、社会・文化、理科・環境の5つのジャンルに分類し、やさしくニュースを解説してあります。

○「時事問題パワーアップ講座」…時事問題を用語や地図、年表、統計などでまとめてあるので、社会科の総合力が身につきます。

予想問題も充実。解答は使いやすい切り取り式です。
https://hon.gakken.jp/book/1130502200


見やすくすることと、文字だらけにならないようビジュアルを工夫しました。

ーこちらの書籍を作る上で工夫された点を教えてください。


類書に先駆けてカラーにして、見やすくすることと、文字だらけにならないようにビジュアルを工夫しています。

また、本書ではニュース1テーマにつき、解説2ページ、問題が2ページと決めています。お子さんが分量が多すぎて途中で嫌になってしまうということがないよう、無理のない分量に収まるように工夫をしてますね。ニュースも入試に出る可能性の高いものばかり収録しています。


ー見た目が新聞っぽく、見やすいなと感じました。


これはデザイナーさんの意向でしたが、とても好評です。

また、入試では時事問題そのものが問われることはそんなに多くなくて、ニュースに関連して、社会科で学ぶ内容が問われます。

例えば、消費税が10%に引き上げられると言ったら、10%という数字を問うだけではなくて、そもそも税金って何のためにあるのか?間接税と直接税の違いって何?といった教科書に載っていることが問われるので、そこを丁寧に解説しています。

また、社会科だけでなく、理科に関連したニュースも載せています。


ー子どもの学力向上のためにはどんなことが必要だと思いますか?


社会科の時事問題の対策を新聞と結びつけて言うなら、普通の新聞を小学生が読むのは少し難しいと思うんですよね。

小学生新聞や新聞の子ども向けの欄でも良いので、興味のある記事や気になった記事だけ読んで、社会の動きを知り、社会科って面白いと思ってもらえばいいのではないでしょうか。

歴史の年号を覚えるだけが社会科の学習ではありません。社会で今動いている事象を、新聞やテレビなどのニュースでつかんで、社会科で学んでいることとつながっているんだなって思えれば、学力は自然と上がるんじゃないかと思います。


「この記事を読んでごらん」と渡して、「どうだった?」「どこが分からないの?」と聞いて、そこから対話していく

ー新聞を読んだり、時事問題に目を向けたりすることはハードルが高いと感じる人もいるかと思いますが、そのような方はどのように取り組んだら良いと思われますか?


テレビでも池上彰さんなどがニュースを分かりやすく解説しているものがあります。

そうしたものを取っ掛かりにしてニュースに関心を持ってもらうと良いと思います。

テレビの情報は流れてしまいますが、新聞の良さは好きな時に見ることができて、かつ、自分のペースで読むことができる点です。


子どもに「この記事を読んでごらん」とおうちの方が渡して、「どうだった?」「どこが分わからないの?」と聞いて、そこから対話していくと良いんじゃないかと思います。コミュニケーションのツールとして役立つかなと。

自分は親に読めと言われたわけではないのですが、新聞が好きで自発的に読んでいた記憶があります。

紙の新聞は、自分の興味がなかったところが目に入るのが良いところです。私はそうした部分に価値を見い出しているので、新聞をとることは高い投資ではないと思っています。


ー確かにSNSだと好きな情報しか目に入らなくなりますよね。


そうなんですよね。ネットは便利なんですけど、怖いのは情報のとり方が偏ることです。YouTubeを見ていると似たような動画ばかり推薦されますし、Twitterのタイムラインなどでも同様で、ものの見方も偏ってしまう恐れがあるのが怖いところですね。


新聞も言論機関なので、社説などの主張には各紙の個性がありますが、一般記事などでは客観的で信頼性があります。取材もちゃんとしていますから。

学力と新聞のつながりというと、社会科に限らず、漢字や言葉の使い方も覚えられて、読解力も身につくので、国語力の向上にもつながると思います。