新聞と『時事問題に強くなる本』を活用した子どもの学力の磨き方【後編】

『2020年入試用重大ニュース 時事問題に強くなる本』(学研プラス)の編集担当者である、小中学生事業部 教科教育編集室の統括編集長 中山敏治(なかやま としはる)さんに、本の内容や子どもの学力向上のポイントや新聞の活用法についてインタビューしました。


前編の記事はこちら


頭から全部読もうとせず、好きなところだけ読めばいい

ー新聞のどういうところが好きだったんですか?


自分の子どもの頃だと情報源は主にテレビでしたが、父が見たいチャンネルを見るしかなかったり制限がありました。しかし、新聞はいろんなことが書いてあって、好きなところをすぐ読めるところが好きでした。

かつ、新聞の記事はコンパクトにまとまっているんですよね。

ネットの場合、記事によりますが、内容がまとまってないものや信ぴょう性に欠けるものがあります。でも、新聞は記者がきちんと取材をして書いているので、間違いもほぼないし、紙幅に制限があるのできちんとまとまっていて内容も分かりやすいです。

見出しをつける人が専門でいるし、役割分担がすごくできていて完成されたメディアだと思っています。

子どもの頃はやっぱり情報に飢えてたんでしょうね、きっと。


ー普段新聞を読まないお母さんはどんな風に読んだらいいと思いますか?


1面から読むのはお子さんには難しいので、私は裏面をめくった社会面から読むのをオススメします。スポーツが好きならスポーツ面から読めばいいと思います。

頭から全部読もうとせずに好きなところだけ読めば良いという考え方で、実は学習教材でも全部やりきらなくても良いと私は思っています。

『時事問題に強くなる本』を製作する時は新聞のほか、1か月ごとの新聞記事をまとめた新聞ダイジェストも参考にしてます。また、新聞社によっては子ども向けのニュースをまとめた雑誌を出しているので、それを読んでも良いのではないかと思います。


ー受験用の問題集はともすると詰め込み型の勉強になりがちだと思うのですが、『時事問題に強くなる本』の理想的な使い方はありますか?


毎年私立中学校の先生がどんなニュースに注目してるかというアンケートをとっています。巻頭にランキングを掲載しているので、注目度の高いニュースから解説を読んで問題を解いていくという使い方が一番良いのかと思います。


対話があると勉強に取り組む姿勢が変わると思います。

ー大人でもこういう本を読まれている方もいらっしゃいますよね。


そうですね。以前デザインを変えた時に、あんまり参考書っぽくしないで、大人でも読めるようにしました。

また、思考力を問う記述問題、例えば「この理由を書きなさい」というような問題は積極的に盛り込むようにしています。


ー興味のあるものはすごい覚えていても、「勉強しなきゃ」といやいや暗記したことって結構忘れがちになったりすると思うのですが、どうすれば興味を持ちながら学ぶことができると思いますか?


そうですね。私も忘れちゃうんですよね(笑)

やっぱり丸暗記したのは覚えてないんですよね、短期間で詰め込んだものは。

社会科はとにかく知識を詰め込めばいいと思われがちなんですけど、物事が起こった理由、例えば、源頼朝が鎌倉に幕府をたてたのはなぜかというと、三方を山に囲まれていて、海に面していて攻め込まれにくいからなどの理由が分かると頭に残りやすいです。
物事を一対一で考えるんじゃなくて、流れで一体のものとして捉えることができると忘れにくくなると思いますね。


ー学校教育の現場であれば、先生がその辺を工夫して活用していただくとすごく効果的な感じですよね。


そうですね。一方的にドリルやりなさいと言うのではなくて、「なぜこれをやらなきゃいけないのか?」という意義を説明してあげると、子どもも納得して取り組めると思います。

なんでなんでって聞かれてうるさいかもしれないですけど(笑)。そういう対話があると、勉強に取り組む姿勢が変わると思いますけどね。


新聞も興味があるところを読めば良いという風にして、日々、達成感を味わせてあげるのが良い。

ー小さい頃、新聞が好きで読まれていたと先ほどおっしゃっていましたが、どういう声掛けがあると、子どもは情報に興味を持つと思いますか?


そうですね。今、逆に情報があふれすぎているので、おうちの方も何を与えるかを考えることが大変なんじゃないかと思うんですよね。

スマホを無制限に見せてしまうと、YouTubeをずっと見続けてしまうおそれもありますよね。しかし、紙の新聞は分量が限られてるし、終わりが見えます。

新聞は興味があるところを読めばいいという風にして、日々、達成感を味わせてあげると良いかもしれませんね。

また、子どもに聞かれても分からないところは一緒に調べながら学ぶというスタンスが良いかと思います。


ー社会で起きていることが幼少期から興味のあるテーマだったんですか?


私は時事問題や社会科が特別大好きというわけではなかったんですよね。ただ、子どものときから新聞を読んでいた経験が、結果的に今の仕事に生きている面は大いにあると思います。


ー新聞を読むコツはありますか? 


全然読まない子については、1つだけ記事を子どもに渡して、「どうだった?」みたいな感想を聞くことから始めるのはいかがでしょうか。


ーお子さんに対してハードルの低い投げ掛けをできたら良さそうですね。


新聞にはお子さん向けの記事が載っているので、それから始めるのも良いですね。また、アニメキャラクターが一面で問題を出して、ページをめくると答えが書いてある、といった新聞もあるので、そうしたものを活用するのも良いと思います。


ー貴重なお話をありがとうございました!



インタビュー前編はこちら

https://www.shinbun.me/posts/7902943?categoryIds=1762367