親子で成長できるツール“新聞”で令和時代の学力をのばす「家庭(ファミリー)NIEタイム」とは?

2020年に行われる大規模な教育改革。これまで“見える学力”とされていた「技能・知識」に加え、“見えない学力”の「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力、人間性」を育むことが掲げられています。



2020年の教育改革、学力の土台となるのは「読解力」

アクティブラーニングの導入やプログラミング教育の必須化などが注目を集めていますが、求められているのは学力の共通の土台となる「読解力」に着目すべきです。


「新聞を読むこと」は学力に影響。読解力を養うカギに

この読解力を日頃から培うのに適した方法の一つが、親子で新聞を読むことです。


データとして、「学力の高い子どもの家庭ほど、保護者が本や新聞等の活字文化に触れる機会を意識的に作ろうとする傾向」があります。また、「子どもから、地域や社会の出来事やニュースについて積極的に話す関係性ができている家庭」や「保護者自身が本や新聞といった活字メディアを頻繁に利用する」ほど、その子どもの学力が高い傾向にあるとの調査結果(※1)もあります。


新聞記事が読解力を養う題材として適していることは言わずもがなですが、紙面の中にある写真や見出しのほか、スポーツやサイエンス、文化など幅広い話題は子どもの興味関心を高めるとともに、「なぜ?」「どうして?」と主体的に問いをもって考えるきっかけにもなります。新聞を継続して読むと、何げなくテレビでみたニュースについて深い理解を得られるようになったり、親子で共通の話題を一緒に考える機会になったりもします。



学力が上がる!親子でできる「家庭(ファミリー)NIEタイム」


また、家庭(ファミリー)NIE(Newspaper In Education=教育に新聞を)タイムとして、親子で新聞を読むことを習慣づけることで、読解力、学力の基礎を効果的に養うことができます。


ポイントは、毎日決まった時間に新聞を読むこと。朝でも夕方でも、子どもが読みたいと言った時間に習慣化するのが良いでしょう。夕方以降に読むのであれば、夕刊を題材にすると面白い視点を得られます。


子どもが新聞の気になった部分にコメントを書き込み、親がそれをチェックして良いと思ったポイントに○をつけたり、ポジティブなコメントを書き込んだりするやり方も有効です。子どもにとって“少し難しくて”“背伸びが必要な”文章を習慣的に、分かる範囲で読み解こうとすることによって、読む力と書く力が向上し、さらに大人とのコミュニケーションを通じて学習意欲を高めることができます。


また、「新聞スクラップブック」として記録していくこともできます。新聞で気になった出来事を毎日ノートに記録し、親子の交換日記としてコミュニケーションすることで、「新聞スクラップブックがかけがえのない親子の思い出になった」と話す方もいます。

このように、新聞を親子で読む習慣をつけることで、教育改革で求められる学力の土台が鍛えられるだけではなく、親子のコミュニケーションが増え、親子で一緒に成長していけます。


いよいよ目前に迫った2020年教育改革。子どもたちが新しい時代に生きる力を育み、自ら学んでいけるように、親として新たな視点や方法で教育に向き合っていくきっかけにしてみてはいかがでしょうか。


※1 文部科学省委託研究「平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究(国立大学法人お茶の水女子大学)」


監修:関口修司(日本新聞協会NIEコーディネーター)

構成・文:わたしとしんぶん 編集部