求められるのは読解力。親が知っておきたい“2020年教育大改革”で起こること

新元号や東京オリンピックなど、時代の変わり目を象徴する大きなイベントが注目される中、日本では2020年にもう一つ、大きな改革を控えているのをご存知ですか? 子を持つ親なら知っておきたいこの改革、次世代に生きる力をつけていくために行われる「教育大改革」とも呼ばれています。


この「2020年教育改革」は、AI時代の到来や子供の基礎学力の低下が叫ばれる中で、日本の大人が受けてきた今までの教育の定義やかたちが大きく変わる内容となっています。


大学入試“センター試験”が変わり、小学校からの“学校教育”も変わる

まず注目したいのは、長年、大学入試の第一関門だった「センター試験」に変わり、「大学入学共通テスト」が導入されること。加えて、小学校から中学・高校では「新学習指導要領」を受け、学校教育(授業や科目)の在り方が変わります。


覚えるより考える力、表現・解決できる力が重視


今回の教育改革では、これまで“見える学力”とされていた「技能・知識」に加え、“見えない学力”「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力、人間性」を育むことを目指すとされています。


学校では、「アクティブラーニング」といわれる“子どもが主体的に学べる授業”への転換が進み、これまでの「覚える力」より「考える力」が学力として定義されます。また、課題をみつけ、根拠を明確にして解決する力=プログラミング的思考なども重要になるとされています。


つまり、「受け」て「覚える」従来の授業から、「参加」し「考える」授業に変化し、それに対応する力が新たな学力と定義づけられるとイメージしてよいでしょう。


それでは、子どもを持つ親は、2020年教育改革に向けて何を知っておくべきなのでしょうか。子どもの年齢によって様々ですが、具体的なポイントに分けて抑えておきましょう。



ポイント1:授業が「アクティブラーニング型」に


「アクティブラーニング」とは「主体的・対話的で深い学び」のことを指し、一方向的な講義形式の教育とは異なり、子どもが能動的に学べる授業・学習法です。話し合いや体験を中心とする授業・学習によって、子どもが興味をもって建設的な対話をする機会が与えられ、実際に社会に出て自分で考え、行動し、切り拓いていく力につながることが期待されます。



ポイント2:「プログラミング教育」の実施


教科・科目の構成が変わる中で注目するべきなのが、小学校でプログラミング教育が必須化されることです。プログラミング学習を通じて、課題をみつけて解決する力=プログラミング的思考を身につけることが目標とされます。



ポイント3:「教科横断的学習」で教科と教科がつながる


科目の変化として、高等学校で「地歴総合」「理数探究」など、教科を横断する科目が新たに登場します。これまで独立していた各教科をつなげて学ぶことで、「垂直思考」から「水平思考」で総合的に知識をつなぐ力、理解する力が求められるようになります。小学校・中学校でも教科横断的な学習が多くなります。



ポイント4 :「センター試験→大学入学共通テスト」に


2020年度(21年1月)から実施される大学入学共通テストでは、これまでの知識詰め込み型の試験ではなく、考える力を測るテストに変わります。具体的には、従来のマークシート方式に加え、国語と数学で「記述式問題」が登場。英語は「聞く」「読む」の2技能から、あらたに「話す」「書く」が加わった4技能の評価になります。



「読解力」は新たな“学力の土台”


このように2020年教育改革では、子どもに求められる力が変わります。アクティブラーニング、プログラミング的思考、教科横断の水平思考、記述式問題への回答などに対応していくため、共通して学力の土台として求められるのは「読み取る力」=読解力です。


読解力と一口に言っても、国語などで文学を読み、主人公の心情を読む力ということだけではなく、実用的な文章や図、表、グラフなど、様々なスタイルの情報を読み解く力のことを指します。つまり読解力が上がれば、算数など他の教科でも学力も上がることが期待できるのです。


「わたしとしんぶん」では、子どもの読解力を鍛えるツールとして最適な「新聞」に親子で触れていく方法を随時紹介していきます。


監修:関口修司(日本新聞協会NIEコーディネーター)

構成・文:わたしとしんぶん 編集部