子ども紙面や子ども新聞から親しませる

長野県上田市で新聞販売を営む東郷堂で、地域に住むママ達が「ママリポーター」として取材・紙面作りに取り組み発行している「東郷堂mama’s新聞」
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mama’s 新聞の編集会議にお邪魔させてもらい、ママリポーターや発行責任者の鈴木常務に、活動の様子についてインタビューしました。


取材したママリポーターは創刊号から参加しているSさん、Mさんと、数年前から参加されているKさんにお話を伺いました。


子どもがいる時に新聞を読むようにしています

ーご家庭で新聞をこんな感じで活用している、子どもに読ませているために工夫していることなどありますか?


Sさん:土曜日に子ども新聞が届くので、「新聞入ってたよ、今日はこういう話題があるよ」と勧めています。

あと、子どもがいる時に新聞を読むようにして、新聞を読んでいることを子どもに伝えようとアピールしています。


Mさん:今はやってないですけど、ノートを1冊与えて、4コマ漫画を毎日貼って自分だけの漫画を作ってて、それを大事にしていました。

土曜に入ってくる子ども新聞で、うちは懸賞が大好きな子なので、それに応募したりして楽しんでますね。


ーちなみに子ども新聞にはどういうことが書かれているのでしょうか?


Mさん:時事問題を分かりやすく書いてあったり、子どもに人気のキャラクターが解説していたりして、英語のコーナーもあったり、コンパクトにまとまっている感じです。


ーこれからご家庭で新聞をこういう風に活用していきたいって思っていますか?


Sさん:主人は経済面から見るんですけど、私は裏のテレビ欄からチェックしていて(笑)

今年の目標として、テレビ欄からは変わらず見るんですけど、世界でいろんなことが起きているので、経済面まで見ていくようにしたいと思います。


Mさん:テレビ欄とお悔やみ欄しか見てなかったんですけど、今後は一緒にニュース面と地域面を見ていきたいなと思います。



記事も書いたことがなかったんですけど、楽しそうだなというワクワク感で参加しました。

ーママリポーターをやってみようと思ったきっかけを教えてください。


Sさん:元々いろんなことに興味があって、たまたま東郷堂で魅力的なワークショップがあって参加したのがきっかけです。

そこで募集があって、記事も書いたことがなかったんですけど、楽しそうだなというワクワク感で参加しました。今考えるとよくその時やろうとしたなと思います(笑) 


Mさん:もともとブログを趣味で20年くらいやっていたのですが、私もここで開催されているワンコインの文章の書き方講座に参加したら、ママリポーターの募集をしていたので、面白そうだなと思って参加しました。


Kさん:私も書くこと・伝えることをテーマとした講座があって参加しました。

その講座でも文章を書くのにすごく役立ったんですが、同時にママリポーターの募集があって、私も書いたみたいなと思って参加しました。

いろんな価値観や年代のお母さんと知り合える

ーママリポーターをやっていてよかった、楽しいと思うところはどんなところですか?


Sさん:記事を書いた後に「読んだよ」とか言われると、やっぱりうれしいですね! やりがいを感じます。アクティブなお母さんが多く、そういうお母さんたちとつながれるのもうれしいですね。


Mさん:いろんな価値観や年代のお母さんと知り合えて、自分とは全く別の視点の考えに触れられることが面白いですね。

あと、私はママリポーターをやってることを、あまり人に言っていなくて、仕事ではなく、自分のプライベートの趣味としてできるっていうのもいいですね。


Kさん:私も人にママリポーターのことは言ってなかったんですけど、たまたまこないだ飼っている犬との関わり方についての記事を書いたら、近所の人に「〇〇さんでしょ?」って何人にも言われて(笑)

結構みんな読んでくれてるんだなと思って、それがうれしかったです。

その後、2019年の秋にママゼミというママ向けの講座があって、そこで「自分も犬を飼ってたことがあるので、すごく気持ちが分かってよかった」と言われました。そういう風に、全然知らない人とも記事を通して友達になれたのがすごいよかったなと思います。

一つ書くと、次これ書きたいってなるので、今まで続けてこられました。


ー逆にママリポーターをやっていて難しい・大変だなと感じるところはありますか?


Sさん:やっぱり書く技術の部分ですね。記事を書いた経験がなかったので、文章を作るのが一番大変でした。

あとは、アポ取り。もともと知り合いの方だったら気軽にいけるんですけど、全く知らないお店への取材となると、どうやってお伝えしたらいいかとか、全く素人なので分からなかったです。


ーそういう時は担当者さんがサポートしてくれるんですか?


Sさん:はい、サポートはかなりしてくださいます。一緒に取材に行ってくれたりしてとても助かりますね。


Mさん:やっぱりアポ取りが抵抗感があるというか、知らないところに「こういうものです」って言うのが難しくて、「どういうものなんだろう、私みたいな(笑)」

そこは東郷堂さんが名刺やカードも用意してくださるし、すごくサポートしてくださるので、何か困ったら相談しようかなという感じです。


Kさん:私は、自分が感じていることとかを中心に書くので、最終的に何を伝えたいのかが決まるまで時間がかかります。ポイントがつかめると書けるんですけど。

Mama’s新聞の担当者さんに「こう思うんですけど」と相談すると、「こうでいいんじゃないですか」ってアドバイスくれたりします。

なので、一人で悩んでどうしようかなって思う時に、相談にすごく乗ってくれるし、言わなくてもイラストを入れてくれたりするので、私の場合は文章に専念できるのでありがたいです。

ーママリポーターの活動を通して、新聞の見方が変わったり、こんな風に活用するようになったりしたという変化はありますか?


Sさん:書く側の視点から新聞を見るようになりました。「こういう文章の書き方をするんだ」という形で文章を読むようになりましたね。


Mさん:普段、ニュースの記事より、連載とかドキュメンタリーを読むのが好きなんですけど、新聞を読むのが前より好きになりました。



ーMama’s新聞を読まれている方や興味を持ったお母様方へのメッセージはありますか?


Sさん:私はこれから女性の起業について記事を書いていきたいと思っています。40代って子育てがちょっと楽になってきて、どうやって生きていくかを考える年かなと思っていて。

私が書いた記事に共感してくれて、そういう考え方もあるんだねって思ってくださる方がいればそれで十分です。


Mさん:やっぱり書いた記事に共感してもらえることと、読んだ人がちょっとでも明るくなれればいいな、気持ちが軽くなればいいなって思います。


Kさん:Mama’s新聞は可愛い絵とか、子どものこととか、いろんな話題が載っています。

ぜひ、いろんな年代の方に読んでいただいて、世間にはこういうことがあるんだ、子ども達も大変なんだね、お母さんたちはこういうことを考えてるんだ、と考えてもらうきっかけになればいいなって思います。




続いて、mama’s 新聞の発行責任者である鈴木常務に話を伺いました。


「ママさんたちには楽しんでやってもらうのが一番と思っていますね」


ーこれまでどれくらいのママさんが関わられているのでしょうか?


鈴木常務:1号作るのにだいたい10人。延べ人数で言えば100人くらいでしょうか。


ーママさん同士で役割分担して新聞を作っているのですか?


鈴木常務:基本、取材した人がその記事を書いています。

印刷にもこだわりお金をかなりかけていますし、それも励みになるのかなって感じがします。

自分たちが書いたものがカラーの紙面になって街で配られるっていうのは、達成感があるかもしれないですね。A4の印刷で白黒でやったら多分集まらなかったと思います。

ママさんたちには楽しんでやってもらうのが一番と思っていますね。


ーイラストなども入って可愛く、親しみやすい感じですよね。


鈴木常務:イラストは基本、ママさんたちが書きます。写真もみなさんスマホとかで撮ってきてますね。

ダメな写真はもう一度撮りに行くことも最初のうちはありましたけど、今はほとんどないですね。

また、ママさんたちは発信がしたいんだろうなって感じています。

こういう目線で世の中を見ていかなきゃいけないよねって毎回驚く記事がありますね。

ー今後、ママさんたちは子どもの勉強に対して、どのように新聞を活用したらいいと思いますか?


鈴木常務:ママさん方に言うとしたら、「子どもの算数の成績を上げたかったら、国語の成績を上げるように努力させてください」と言うことです。

なぜなら、点数を稼げるのは文章題だから。

いくら計算ができても、何を求められているか分かっていないと答えを間違えますよね。

要は、国語の能力を上げないと、問題を作った人が何を求めているのかが分からないということですね。


「本や新聞を読む子じゃないと、結局、AIの時代を生き残っていけないんじゃないかと思います」


ーその国語力・読解力を上げるためにも新聞を読むことが大切なわけですね。


鈴木常務:はい。高校から呼ばれて社会科の時間に授業をやるんですけどね。

AIが発達してくると、「新聞とか読んでもしょうがないじゃん、みんなAIがやってくれるんだから」と考えがちです。


でも、AIの時代になればなるほど、最初のソフトを作る技術者が、AIに何を導き出させようとしているのか分からなければ、とんちんかんなソフトを作っちゃいますよね。

だから、そのためには人と対話して、話を聞いて、それからAIにデータを突っ込む必要があります。データを得るにも読解力が必要ですよね。

だから、本や新聞を読む子じゃないと、結局、AIの時代を生き残っていけないんじゃないかと思います。


いつも高校生には、「新聞に書いてあることが正しいって読むんじゃなくって、今日の新聞にはこう書いてあるけど、これについて自分はこう思う、ということを記事を読んで考えるように」と言っています。

高校生から「スマホなんかいじってる場合じゃない。世界にこんないろんなことが起きている。もっと新聞を読まなきゃいけないよね」という感想をもらったこともありましたね。


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